aTIMONT Ebis Building, 2004

「ロングライフ建築という選択」
 aTIMONT Ebisは東京の恵比寿に建つシンプルな5階建て、500年の長寿命PC建築。インフィル-スケルトンの考え方を重視し、箱としては2004年建築当時でも珍しいPC建築として建てられた。箱自体はシンプルで柱、梁の無いフラットで無機質な空間がその特徴である。工場生産のコンクリート版をテンションワイヤーで緊張組立ており、工期は早く、たった2週間で5階建ての構造体が出現した。現場もスムーズで極めて静かな施工性で近隣への負担は少ない。建築としての性能は、鉄骨造を超える柔軟な耐震性と、コンクリート造の耐火性能を併せ持つ。

「500年建築なら、12世代先まで使える」
 世代交代を40年とすると、500年建築だと12世代先まで資産を継承することが出来る。コンクリート建築の大きな弱点は地震におけるクラックだろう。クラックが入ると、モルタルと鉄筋とが遊離し、圧縮強度も引っ張り強度も失う。また、変型時は形状を復元できないから、大地震の後、関西大震災でも多数のビルが巨大産業廃棄物と化し、廃棄コストがかかった。資産的な損害も計り知れない。
 その問題を解決できる構造としてはPC造がある。コンクリート版の内部に鉄筋より4倍程度の断面積の強度の高い鉄棒、ワイヤーを通し両端でかしめる。関節を与えられたコンクリート版は柔軟に変形でき柔らかい建築となり、地震で揺れても元の形状に復元する。500年という数字はコンクリートの中性化による弱体化を安全側に見た数値であるので、少なくとも500年は持続可能という計算になる。

「インフィルには人にとって快適素材を使用すればよい」
 PC建築の空間の最大の特徴は柱と梁がないことにある。つまりコンクリートの箱の内部で障害物がない。内装壁を立てたり、天井を吊ったりするときに、邪魔がなくきれいに納まる。インフィルについては木材や繊維形材料など、出来る限り天然由来の素材を使用し快適性を追求すればよいだろう。インフィル-スケルトンの視点からすると、インフィルは消耗材であり、数年から数十年ごとに入れ替えればよい。

「設備は30年ごとにリセットされる」
 30年ごとにスケルトンに戻すと同時に設備配管、給水ポンプなども交換されるべきである。その時、施工性が問題となり、建物によってアクセスができなくなっているケースも多々ある。このビルの水道、ガス、電線ケーブル、LAN関係のパイプスペースは階段に面しており、その壁面のビスは埋め込まれていないので視認でき、容易に配管取り換え作業が出来る。

「ガラス面はメーカー仕様のサッシを使用しない」
 カーテンウォールのメンテナンス性については、サッシメーカーの独自のパーツを使用しても、もしメーカーが生産終了、規格変更、あるいは倒産などした場合、メンテナンスやパーツ交換は不可能になる。このような判断がロングライフにつながると信じ、カーテンウォールには角パイプ、ハット形とフラットバーの3種の流通している鋼材、板ガラスとそして防水ビスで作った。防水ビスはサンコーテクノ社のステンレスSUS304製の特座TWSにウルトラパッキンULを組合せているが、10年以上経ったが漏水は確認されていない。また、角パイプ内には水の流入があっても自然乾燥するよう、角パイプに穴を設け、水の排出経路を確保している。